サラリーマンとして働いていると、保険や税金などはなかなかピンときませんよね。
仕事辞めて旅に出たい!世界一周にいずれ行くよ!と思っているサラリーマンの方。
今のうちから「保険・税金」について知っておかないと、後々痛い目に会いますよ。というか、社会人として必要最低限のことは理解しておくべきです。
今回は、サラリーマンが知っておくべき、また、会社を辞める前に知っておいた方がいい「保険・税金」について紹介します。
これから会社を辞めようと思っている方、お金貯めていずれ旅に出ようとしている方、また将来フリーランスとして独立・起業を考えている方もぜひ読んでみてください。
保険・税金の種類(基本知識)
サラリーマンをしていると、全て会社が経理をしてくれるのでなかなかピンとこないかもしれないですが、給料から保険、税金などが差し引かれています。
皆さんが気にするのは、いわゆる「手取り」の金額ですよね。でも総支給額から引かれている金額は何なのでしょう。
毎月給与から引かれている税金は以下のものですよね。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 所得税
- 住民税(勤務1年後から)
一つ一つ説明していきます。
健康保険|国民健康保険
サラリーマンが加入する保険と、退職後、無職・フリーランスの方が加入する保険はそれぞれ違います。
- サラリーマン→「健康保険」
- 退職後・フリーランス→「国民健康保険」
◆サラリーマンの場合
会社が所属する社会保険組合や協会けんぽなど(=保険者)が健康保険証を交付してくれます。
「標準報酬月額×保険料率」で納付額が決まってきます。(標準報酬月額は月の給与額のことと思ってもらってOK、健康保険の税率は約10%)
なので収入が多い人ほど納める保険料が高くなります。
また、ここでひとつ知っておくべき点として、サラリーマンが加入する健康保険料(厚生年金保険料も)は「会社が半額を負担してくれている」ことです。(※会社によっては折半負担額が異なる場合もあるようです)
月々の給与から引かれている保険料は本来の半額ということですね。これを知らない人、意外と多いです。
◆退職後・フリーランスの場合
一方、退職後は都道府県が交付する「国民健康保険」(以下、「国保」)に切り替える必要があります。こちらは「全額」自己負担になります。
また、退職後は、「国保」に切り替える以外の選択として、今まで会社で加入していた健康保険の「任意継続」(退職後2年間まで)という手段を選べるのですが、
これまで半額を会社に負担してもらっていましたが、退職すると保険料は全額負担になってきます。
退職後、任意継続せずに国保に切り替えるなら、その納付額は、前年1月~12月の収入額に応じて決まってきます。
退職後に保険料がどうなるか知りたい方は(計算が複雑なので)自動計算サイトで試算してみてください。
もしくは、会社と市役所にそれぞれの保険料を問い合わせ、安い方を選択することになります。
退職するなら(手続き)
会社を退職する際に、健康保険証は会社に返却し、国保に加入するときは14日以内に居住地の市区町村役場の国保年金課の窓口に手続きに行ってください。下記の持ち物が必要です。
・健康保険の資格喪失証明書
・個人番号カード(通知カードでもよいが本人確認のため身分証明書の提示も必要)
厚生年金|国民年金
同じく、サラリーマンが加入する年金と、退職後、無職・フリーランスの方が加入する年金はそれぞれ違います。
- サラリーマン→「厚生年金」
- 退職後・フリーランス→「国民年金」
◆サラリーマンの場合
会社員・公務員などで、70歳未満の人が加入する公的年金です。
健康保険料と同じく、「標準報酬月額×保険料率」で納付額が決まり(厚生年金の税率は約18%)
収入が多い人ほど納める年金額が高くなります。また同じく「会社が半額を負担」してくれています。
定年後は「基礎年金」と「厚生年金」の両方を受け取ることになります。
◆退職後・フリーランスの場合
一方、退職後は「国民年金」に切り替える必要があります。
こちらは「全額」自己負担で、それまでの収入額に関係なく、一律で決まっています。
年度によって納付金額が変わるのですが、平成31年4月〜は「月額16,410円」です。(1年で約20万円という計算ですね)
また、定年後は「基礎年金」のみ受け取ることになります。つまり会社員として勤め上げ定年を迎えた場合と比べて、もらえる年金が少ないということです。
退職するなら(手続き)
厚生年金から国民年金に切り替えが必要なので、退職日から14日以内に、居住地の市区町村役場の国保年金課の窓口に手続きに行ってください。下記の持ち物が必要です。
・基礎年金番号のわかるもの(年金手帳など)
・退職日のわかるもの(離職票、退職証明書など)
・本人確認書類(免許証など)
※年金を納めるのは義務ですが、退職して収入が無くなる(少なくなる)期間があるのであれば、申請をすれば納付を免除することも可能です。もちろんその場合は定年後に受け取れる年金額が下がりますが。
補足)社会保険料とは
サラリーマンの場合、会社で加入する保険、「健康保険料」と「厚生年金保険料」そして後から説明する「雇用保険料」を合わせて「社会保険料」と言います。
また、フリーランスや退職後には、「国民健康保険」や「国民年金保険」に加入することになりますが、これも社会保険の内の一つということです。
①健康保険(サラリーマン)
国民健康保険(フリーランス・退職後)
②厚生年金保険(サラリーマン)
国民年金保険(フリーランス・退職後)
③雇用保険(=失業保険)
があるということですね。
社会保険=会社で入るもの、という認識を持っている人が多いですが、会社に所属していなくても日本にいる人は社会保険に加入することになりますよ。
標準報酬月額の決め方
また、社会保険料を決めるに当たって計算の元になる「標準報酬月額」(月の給与額のランクのこと)は、毎年7月1日に、4、5、6月の3カ月間の報酬の平均額を元に決定されます。
そして基本的には、4、5、6月の給与で決まった標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月までの1年間利用されることになります。
ただし、昇給や降給などによって大きく報酬額が変化した場合は、標準報酬月額の改定が行われることもあります。
所得税
次は、「税金」についてです。
所得税は1年間の総収入に対して掛かる税金です。
会社にいると1~12月までの1年間の総収入を想定し、月割りで源泉徴収(月の給料から天引き)しています。そして年末になると1年間の給料と天引きした所得税の金額をもとに、年末調整を行い、過不足を清算します。
つまり、所得税は先払いなので、後からお金が戻ってくることが多いです。
もし退職後に1カ月以上の失業期間がある場合は、所得税を多く納めていることになり、確定申告を行うことによって還付を受けられます。
退職するなら(手続き)
1年以内に再就職した場合
再就職先の会社で年末調整を行います。
2年内に再就職しなかった場合
翌年の確定申告の時期に居住地を管轄している税務署で確定申告を行います。
所得税は先払いなので基本的に後から請求されることはありません。
注意すべきは次の住民税です。
住民税
住民税は1年間の総収入に掛かる税額を、翌年の6月から1年間にかけて後払いで納めています。
もし会社で働き始めて1年以内なら、住民税は取られません。収入が発生してから13ヶ月目に初めて住民税を取られます。
会社に勤めていれば、毎月の給料から月々の納付額を天引きされます。
退職したら
退職すると源泉徴収されなくなります。
6月1日付けで再就職をしていなければ、後から郵送されて来る納税通知書に従って、自分で支払わなくてはなりません。
住民税はざっくりいうと、総所得(実際に口座に入ってくる手取りの金額)から控除の金額(社会保険料控除、基礎控除など)を引いた金額の約10%です。
サラリーマン収入350万円の場合
総所得約270万円(手取りの金額)
控除の金額106万円(社会保険料控除73万円、基礎控除33万円)
(270万ー106万)×10%=約16.5万円
住民税の額は前年の所得によって変わって来ますので、ぜひ退職前に一度試算されることをおすすめします。
退職するなら、この金額が後からまとめて支払う必要がある、ということを覚えておきましょう!
雇用保険(失業手当)
雇用保険は万が一の失業に備えるための社会保険のうちの一つです。
雇用保険の目的は、労働者が失業した場合や雇用の継続が困難になったときに、労働者の生活支援や再就職の支援を行うために必要な給付を行えるようにする事です。
雇用保険は、会社で勤めている間に給与天引きで支払われており、失業時には国から失業手当が給付されます。
退職したら・・(手続き)
給付は自動的に行われるものではないのでハローワークに行き、手続きをする必要があります。
- 雇用保険加入期間が、退職前2年間で12ヶ月以上あること
- 現在失業中であること
雇用保険はあくまでも再就職を目的とした保険であるため、フリーランスの方(準備をしている方も)は原則として手当を受け取ることができないので注意が必要です。
ただ、雇用保険の代わりに再就職手当という制度があり、条件を満たせばフリーランスとして活動する場合にも受け取れるそうです。
受給できる金額や期間については退職理由、年齢、退職前の収入によって決まります。
給付金額については、自動計算サイトで試算してみてください。
平均月収・・・25万円
年齢・・・30歳未満
雇用保険の加入年数・・・1年以上5年未満の場合
退社理由・・・自己都合
給付金額→約50万円
注意点として、失業手当がもらえるは退職日翌日から90日後からです。そして、その後最大で90日間失業手当をもらうことができます。
なので、満額失業手当をもらうつもりの方は、退職後から6ヶ月間の期間が必要ということです。
補足:海外へ・旅へ行く人
もしあなたが、仕事を辞めて海外へ出かけるのなら、「住民票」を抜いておきましょう。
住民票を抜いておけば、上記で説明した「国民年金」「国民健康保険」を支払う義務がなくなります。
ただし、繰り返しになりますが、住民税は1年分の納付額が後々必要となってきますので、確保しておく必要があります。
また、失業手当も海外へ出る前に申請しておいて、3ヶ月後に定期的に日本に戻ってこれるようであれば、受給することも可能なので、その点も選択肢として頭に入れておくと良いですよ。
さいごに
5年前、僕は仕事を辞めて世界一周という旅に出ました。
その時実感したのは、「まじでお金・税金について無知」だということ。その時の自分に向けてこの記事を書きました。
サラリーマンとして働いていると、保険や税金は給料から勝手に天引きされるものなので、普段はあまり意識できないと思います。
でも、これらのお金周りについて知っておかないと、いざ退職することが決まったり、独立したりフリーランスとして活動していくことなった場合に、またサラリーマンとして働いている間も「損」をすることになります。
会社や国はあなたを守ってはくれません。今からできる準備はしておきましょう!
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