サラリーマン夫がフリーランス妻を扶養に入れる【退職後も扶養継続可】

こんにちは、サラリーマン夫のゆうや(@sanktuali)です。
最近結婚しましたが、妻はフリーランスとして働いています。

妻は、籍を入れる前から開業届を提出してフリーランス(個人事業主)として仕事をしていましたが、この度、結婚に伴って僕(夫)の扶養に入る事になったので、扶養の条件や税金について調べていました。

扶養に入れる・入る、となると、夫の扶養の範囲内、いわゆる「130万円の壁」と「103万円の壁」がとても大事になってきます。

フリーランスとして働く妻は、このまま扶養の範囲内で働くことってできるのでしょうか?
フリーランスだって収入が少ない間は、夫の扶養に入れてもらいたいですよね。

そもそも「え?なんで扶養に入れてもらうといいの?」「扶養って何?」と思う方もいると思うので、

今回は、フリーランス(個人事業主)の「扶養」について調べたことをまとめました。

会社員の夫とフリーランス(個人事業主)の妻

始めに僕ら夫婦の状況を紹介します。

  • 夫:会社員(サラリーマン)、妻:フリーランス(個人事業主)
  • 一緒に暮らしていて、夫も妻も収入を得ています。
  • ただし、現状、妻の”所得”は103万円以下

以下の説明では、「夫=会社員(養う側)」「妻=被扶養者(養ってもらう側)」という前提で書いていきますが、その逆でも当てはまります。夫=被扶養者、妻=会社員、という立場で考えてもらっても全然OKです。
要は、片方が会社員、片方がフリーランス、という場合の税金についてのお話です。

収入と所得、経費についての意味も説明をしておきます。この用語の意味を理解していないと話が進まないので理解しておきましょう。

収入と所得、そして経費

収入と所得は違います。

  • 収入:会社員の場合、「給料」の総支給額。税金などが引かれる前の金額のことです
    フリーランスの場合、「売上」金額。税金などモロモロ差し引かれる前の金額を指す。
  • 所得:フリーランス(個人事業主)の場合、収入から必要経費を差引いた金額。つまり、収入ー経費=所得。

今回の扶養の話で大事になってくるのは、この「所得」の方です。
また、フリーランス(個人事業主)にとって、「経費」の存在もかなり大事になってきます

  • 経費:仕事で必要なものに使うお金。会社員の場合、経費=会社が払うお金、金額の100%が返ってくる、という認識かと思いますが、
    フリーランス(個人事業主)の場合、経費=自分で払うお金。経費分誰かからお金をもらえるわけではない。ただし、経費の活用で税金を減らせる。
扶養とは?

「扶養」とは、「(経済的に)自力で生活できない者の面倒をみる、養うこと」です。

会社員である夫が、収入の無い(少ない)妻を扶養に入れる、という状況はこれまでの時代でも結構多かったとは思いますが、

今回紹介していくのは、妻がフリーランス(個人事業主)として稼いでいる、というケースです。

開業届を提出して個人事業主になるということは、収入を得ている、もしくは得ていこうとしていることです。その場合、生活の面倒をみてもらわなくても”経済的に自立している”と判断されてしまい、扶養に入ることができなくなるのでしょうか?

実は、扶養に入る条件を満たせば、個人事業主(フリーランス)でも夫の扶養に入ることができるんです。

フリーランス(個人事業主)は「扶養」に入れる

『税金の扶養』と『社会保険の扶養』でそれぞれ扶養に入る条件は異なりますが(後で説明します)
フリーランス(個人事業主)でも夫の「扶養」に入ることができます。

(ただし、「健康保険」のことは夫が加入している組合によって判断が異なりますので、場合によっては届けを受理されないこともあるようなので確認が必要です。)

これが可能になれば、まだ収入が少ない1年目フリーランスの期間中などに、夫の「扶養」に入りながら収入アップを目指す、ということが可能になり、かなり得をすることになります。(特に妻が)

その「得られるメリット」は何なのか。

これから説明していきます。

※これから扶養にするなら(手続き)

扶養にするためには、扶養異動届を提出する必要があります。書類は、日本年金機構からダウンロードできます。合わせて、

  • 続柄が確認できる住民票(妻などの記載があるもの)
  • 個人事業主であれば、昨年の「所得証明書」(各市町村・区役所で発行してもらえます。)

などが必要になってくる場合があります。
(必要書類については、会社によって取扱いの仕方が違いますので、実際に手続きをする場合には、事務担当者にお問い合わせ下さい。)

※所得証明書は6月頃にならないと発行してもらえないので、昨年確定申告をした税務署に行って、確定申告書の写しをもらう必要があります。

どっちの扶養?

「扶養に入る為に稼ぎを抑えているんだ〜」とドヤ顔する人がいたら、「どっちの扶養の話?」と聞いてみてください。

実はその「扶養」には2種類の意味があります。

扶養には2種類ある

  1. 社会保険の扶養
  2. 所得税の扶養

それぞれ説明していきます。

フリーランス妻を扶養に入れることで節税できる

扶養の目的は、ズバリ「節税」の為です。

詳しく説明していきます。

①社会保険の扶養

社会保険とは、

  • 健康保険
  • 年金

のことです。

  • 会社員であれば、「健康保険」と「厚生年金」
  • 個人事業主(第1号被保険者)は、「国民健康保険」「国民年金」

の事を指します。

この違いを理解していない人も多いので、ちゃんと調べて理解しておきましょう。以下の記事で分かりやすくまとめているので、よく分かっていない人はぜひ読んでおくといいです。

仕事辞めて旅に出る前に。サラリーマンが勉強すべき税金の事【基本知識】

2019年5月25日

メリット→「妻の」社会保険料が免除

フリーランス妻を扶養に入れることで、「妻の」社会保険料が免除されます。

繰り返しになりますが、社会保険とは、「健康保険」と「年金」のことです。

◆健康保険について

扶養に入っていないと、妻は「国民健康保険」に加入することになり、収入に応じた保険料を負担しますが、扶養に入ることで、保険者(会社の組合)から妻の健康保険証が交付され、「健康保険」に加入することになります。その負担は免除されます。

◆年金について

扶養に入っていないと、妻は「第1号被保険者」として「国民年金」を負担する必要がありますが、
(金額は収入に関わらず一定となり、平成31年度で月額16,410円になります。※毎年度見直されますので確認しましょう)
扶養に入ることで、妻は「第3号被保険者」となり、保険料の負担がなくなります。

妻が夫の扶養に入るための条件

年間収入(所得)130万円未満」です。

年間収入とは

現時点(から今後1年間)での見込み収入額のことをいいます。過去にいくら高収入があったとしても関係ありません。また、収入には、失業手当なども含まれます。月額108,333円以下(=130万円÷12ヶ月)で扶養に入る条件を満たすことになります。

個人事業主の場合、年間収入の計算に「経費」が認められています。
毎月の所得(収入ー経費)から判断して、その年間の合計が「130万円」を超えないかどうかになります。

ただし・・・

実際は保険者(会社の組合)によって異なっており、

年間収入130万円未満ですよ、と主張しても、夫の会社の健康保険組合(または協会けんぽ)が「あなたは扶養に入れません!」と言ったら入れないのです。

年間収入の計算に「経費」を認めてくれるところもあれば、経費は関係なかったり、収入に関係なく扶養に入れないところもあります。

詳しくは、各保険者に確認してみてください。

また、「130万円の壁」は年度末の確定申告の時に判断するのではなく、「このままだと年間所得130万円を超える」と判断した時点で扶養から外れることになります。

例えば、4月・5月・6月の「所得」が平均11万円だったとします。このままいくと1年後には年間収入130万円を超えると判断できますので、この時点で扶養から外れるということです。

でも、フリーランスだと収入が一定とは限りませんよね。なのである程度収入が安定するまでは様子をみても良いみたいです。

②所得税の扶養

「所得税の扶養」は扶養される側には特に関係ありません。「扶養する側」がお得になるわけです。

メリット→「夫」の所得税が安くなる

配偶者控除」が使えるようになるので、所得税を安くすることができます。

所得税の計算は、

収入から「控除」を引いた(フリーランスなら「経費」も引いた)金額(=課税所得)に税率を掛けて計算

しますが、この「控除」にも色々あり(社会保険料も控除のひとつ)「配偶者控除」が引けるようになるので、所得税をさらに減らせることができるようになります。

  • 控除(所得控除):一定額を所得から差引くこと。14種類あります。
    基礎控除(38万円)、青色申告特別控除(最大65万円)、給与所得控除(最低65万円)、配偶者控除(38万円)などなど・・・
  • 課税所得:税金の対象となる金額。所得ー控除=課税所得
  • 所得税:「所得(課税所得)」に対して課される税金のこと。課税所得×所得税率=納付税額。つまり、「所得」を低く抑えると節税(支払う税金が少なく)になる。

※「平成29年度税制改正」(適用されるのは平成30年分・2018年から)では、
配偶者控除の壁が103万円から150万円に拡大されました。ただこれは、配偶者控除の壁が収入103万円から150万円に引き上げられただけにすぎず、本人の所得税や配偶者手当は変わらず103万円の壁に縛られている、ということなので、引き続き注意すべき金額の壁は103万円と考えて大丈夫そうです。

夫が妻を扶養に入れるための条件

年間収入(所得)103万円未満」です。

上で説明したように、収入ー控除(ー経費)=課税所得(最終的に税率を掛ける所得)であり、この課税所得が「103万円」を超えないかどうかになってきます。

パートでもフリーランスでも103万円の壁は同額ですが、使える「控除」が違ってきますので補足説明します。

例)パート妻の場合・・・

パート等で働いてお給料をもらう人のことを「給与所得者」といいます。給与所得者の場合、「給与所得控除」といって年収から最低65万円控除してもらえます。

つまり、パート収入のみ103万円であれば、65万円を控除して、所得が38万円となります。

そして、パート収入のみ103万円におさめた妻(配偶者)をもつ夫は、自分の収入から配偶者控除38万円を差し引くことができる。

これが103万円がボーダーラインになる理由です。

例)個人事業主(フリーランス)妻の場合・・・

個人事業主の収入は給与ではないので、給与所得控除はありません。その代わり、青色申告特別控除(最大65万円)」が認められています。(青色申告した場合)

また、「経費」が認められていますので、収入から経費を差引くことができます。

つまり、「配偶者控除38万円+青色申告控除65万円+経費」までなら、稼いでも夫の「扶養」に入ることができます。

フリーランス(個人事業主)妻の場合は、この「経費」の使い方が節税のポイントになってきます。

【ポイント】個人事業主は”経費”が認められる

個人事業主の場合、年間収入の計算に「経費」が認められています。

ポイントは、仕事の為に使ったものは全て経費として換算することができる、という点です。

例えば、打ち合わせの為に使ったカフェ代や、自宅で仕事をする人は家賃も(全額ではないが)セミナーやイベントへの参加費も「経費」として扱うことができます。
これ結構びっくりですよね。

どこまで経費として使えるか、明確な線引きはないのですが、基本は「自分の仕事に関連しているか」です。そして、税務調査官がOKと言えばOKなんです。

扶養条件の金額は「所得が対象」 なので、経費を使えば”収入”が103万円・130万円を超えても扶養に入り続けることが出来る可能性はあります。

つまり、(もちろん限界はあるが)稼ぎつつも社会保険を免除できる。ということです。

(サラリーマン夫とフリーランス妻の夫婦って結構最強だなと思います。)

扶養に入っても入らなくても会社の負担は変わらない

夫の社会保険料は会社が半分負担しています。従業員の社会保険料が上がれば会社の負担も大きくなります。(これを知らない人も多いですよね・・)

「妻の社会保険料が無くなる分、夫の社会保険料が上乗せされるんじゃないの?」と思う方がいるかもしれませんが、あくまで免除(つまり国が払わなくていいですよと言っている)なので、扶養に入れたからといって社会保険料が上がるわけでも、会社の負担が増えるわけでもありません。

会社には堂々と扶養の申請をしましょう。ただし繰り返しになりますが、保険者(会社が加入する組合)がNGと言ったら扶養にはできません。

夫が無職になっても扶養に入り続けることができる

夫が退職したら・・(転職はしない)

すでに妻が扶養に入っている場合

仮に夫が仕事も辞めても「最大2年間」は扶養に入り続けることができます。

説明します。

退職したら保険の種類を選べる

退職したら夫は保険の種類を選べます。種類は2つ

  1. 「任意継続」して今まで加入していた健康保険に入る(ただし2年間まで)
  2. 国民健康保険に入る

会社を退職すると加入している健康保険の資格も喪失することになりますが、これを退職(喪失)者の希望により最長2年間継続することができる制度を「任意継続」といいます。

この任意継続により退職時の健康保険を続けることも可能です。その場合は、妻を扶養に入れておくことも継続可能になってきます。

(転職するなどしてまたどこかの会社に所属するのなら、今回の話は全く関係ありませんよ。)

どちらが安いか(夫がフリーランスを目指すとして)

※仕事を辞め、転職してどこかでまた会社員として働くのではなく、無職になる。という条件でお話していきます。

では「国保と健康保険の任意継続では、どちらが安いか」という疑問は出てきますが、計算方法が異なるため一概には分かりません。ただ、今回は扶養のこともセットで検討します。

◆任意継続を選ぶ場合

サラリーマンの時は、保険料は会社が半額負担してくれていましたが、退職後の保険は、全額を自分で負担することになります(単純計算で2倍です)
任意継続すると、この「2倍の金額を”2年間継続”する」意味になります。

でも、扶養される妻の保険料は2年間免除可能です。

◆国民健康保険を選ぶ場合

一方、国保は前年度の所得を元に保険料を計算されるので、退職後1年目の収入が低い場合なら、その翌年の保険料はその低い収入が反映されますので、結果的に2年間で見ると、保険料が安くなってきます。

夫の収入が低くなるなら

どちらがお得か(支払う額が少ないか)を考えて選ぶ必要があります。

仮に仕事を辞めた夫の収入が低くなる、収入確保まで時間が掛かることが予想されるのであれば、前もって計算して慎重に選ぶようにしましょう。(※任意継続は、一度選んだら基本変更できないです。ただ、裏技がありそうですけどね

そして、繰り返しになりますが、任意継続すれば妻は扶養に入ったままが可能で、つまり社会保険の免除を継続することができます。

 

①任意継続で健康保険に加入し、サラリーマン時代の保険料の全額分を2年間の長い期間払い、ただ、妻を扶養に入れ続け妻の保険料は2年間無し。

という条件か、

②国保に入り、妻も扶養から外れ、2人とも収入に応じた保険料を払う

さて、どちらを選んだ方がメリットが大きいでしょうか。

僕は、妻がフリーランスとしてある程度稼いでいる、収入アップが見込めるのなら、任意継続をする選択もかなりアリかな。と思っています。

ちなみに、僕は9月頃に退職予定(自己都合)なので、それまでに夫婦で話し合ってどうするか決めようと思います。

 

ちょっと特殊なケースかもしれませんが、僕ら夫婦がこの状況だったので、色々調べたので今回記事にまとめました。

誰かの役に立てば幸いです。

ちなみに、僕はサラリーマンですが、以下の本が税金まわりのことを知るのにとても参考になったので、フリーランスでない方もぜひ一読することをオススメします。めちゃめちゃ分かりやすいです。

伊藤 祐矢

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